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やん★ぶろ~画的ネタ日記~

janneのオタクな妄想と多々買いと玩具ネタ画像ブログ。

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ファ○リーズでも消せない匂いはある。

長くなったので、二つに分けました。

ただ長いだけで、特に見も蓋も無い話です。
あ、萌え要素も無いです。自分妄想設定のおさらいみたいな。
自分自身でおさらい。

似蔵さんに思いの他情が沸いて来た今日この頃、です。


※前回の続き※

人の気配が無い自然の中。
聞こえるものは。
「何も聞こえない場所でござるな」
万斉の独り言に似蔵は反応を示さない。本当に眠りに入っているわけではないことは分かっている。
「ぬしの軋んだ音色以外は」
その言葉で、似蔵は万斉の居る方へ僅かに顔を向けた。
「…そんな音まで拾えるのかい?。アンタの耳は」
「右腕から、不協和音が聞こえるでござる。病み上がりにはちと遠出過ぎたか?」
「単に鈍っちまっただけさ。場数をこなせば勘も戻るだろうねぇ」
着物の裾の中で左手が自身の右腕を摩る。
機械(からくり)を埋め込んだ半身、右腕に宿る妖刀紅桜が血に飢えて人を斬る機会を伺っている。
その衝動を押さえつけるように、似蔵は右腕を強く握る。
「痛むでござるか?」
「そういう訳じゃないがね」
着物の袖から右腕を出すと、似蔵は見えない目でその形を視る。元の生身の腕とは変わりがないが、見る人が見れば傷一つ無い皮膚には逆に不自然に写るだろう。
その腕の中身は機械(からくり)で仕込まれた一振りの刀が納められている。
「コイツを飼い慣らすのも、文字通り骨が折れる所業でねぇ。前みたいなドジを踏まないようにこれでも気を使ってるんだよ」
「そお言えば、今日は抜かなかったでござるな。てっきり雑魚相手に不要かと思っておった」
件の紅桜事件以降、表向きは生死不明の行方知れずで匿われている似蔵は、長い間自由に動く事が出来なかった。
紅桜との融合で肉体的にも精神的にもダメージを受けたが、リハビリの甲斐あってか今では簡単な「仕事」には就く事が出来るようになった。コレも偏に見捨てずに介抱してくれた鬼兵隊の皆のお陰。
「出来るだけ、コイツを使うのは奥の手にしておきたいのさ。伝家の宝刀を安売りしたくないだろう?」
「成る程。それこそ文字通りの『奥の手』でござるなぁ。似蔵殿も上手い事を言う」
ハイ座布団一枚、などと笑いながら座布団を渡す仕草をする万斉に、似蔵も釣られて笑顔を見せる。
アジトで療養中に、彼と一緒にテレビの落語番組を見た時を思い出した。

隣で笑うこの男、河上万斉は。
あれ以降、何かと共に過ごす時間が多くなった。同じ生業ゆえの仕事の依頼も増えた。勿論以前から共同で仕事をこなしてはいたが、これほど近くには居なかった。

故に、彼の「匂い」を意識する事は無かった。
その「匂い」の意味を知ろうとも思わなかったのだが。

今は。

「臭うねぇ」
「何がでござるか?」
似蔵がいつもの様に鼻を鳴らすと、万斉も釣られて匂いを嗅ぐように鼻を鳴らす。
その仕草が普段の冷静な振る舞いとはかけ離れた滑稽さに、似蔵はつい笑ってしまった。
「拙者には何も臭わな…って、何が可笑しいでござるかっ!」
「くくくっ。アンタも可愛いところが有るんだねぇ」
「かわっ・・・!」
今度こそ似蔵は声を出して笑った。きっと万斉は赤面して慌てているだろう。
その様を脳裏に映し出し、普段とかけ離れた仕草にまた可笑しくなった。
そして、「匂い」がまた一段と強くなったような気がした。
「・・・何時まで笑っているでござるか」
「いや、すまないねぇ。」
「似蔵殿が臭うと言うのは、てっきり血の匂いかと思うて、追っ手の気配を察したものかと真面目に心配しでござるよ」
「それならアンタあの耳のほうが正確だろうさ。俺が言った匂いはそんな物騒なモンじゃないさね」
すうっと、まがい物とは思えない自然な動きで万斉の顔に手を伸ばす。
盲目の似蔵が何かを確かめたい時に、自然と手を伸ばす癖を知っている万斉はされるままに身を任せる。
その指がサングラスとヘッドホンの触れる。
「アンタは、その色眼鏡と音の出る耳栓で自分の匂いを隠しているんだろう?」
「拙者の、匂い?」
「生憎、俺には臭っちまうのさ。だからかねぇ…、アンタと最初に会った頃は気にいらねぇ奴だと思ってたよ」
「何の事でござるか?。拙者にはサッパリ分からぬ故」
とぼけているつもりか。それとも素で分かっていないのか。
万斉の疑問に答えるわけでなく、似蔵は話を続けた。
「やたら天人くさい奴も居たもんだと思ってたが、今はそうでもないねぇ?」
ピクン、と。万斉の気配が固まる。
手を下ろし、着物の袖の中に仕舞うと、似蔵はまた身を丸めて木に寄りかかる。
「似蔵…殿?」
「人間臭くなったなぁ、河上ぃ。だが、俺ぁ嫌いじゃないよ、その匂い」
そう言って、また一息スンと鼻を鳴らした。

天人の匂い。
人間の匂い。

その両方が、自身の中から臭うと言う事はその両方を持ち得ているという事。

「ぬし・・・、何時から、気付いておった?」
「さぁてね?、何の事やら。俺はただ自分の鼻に正直なだけさね。ああ、俺しか分からない話だからねぇ、誰にも言ってないよ」
「・・・左様か」
それから暫くお互い沈黙が包んだ。

隣で気配が動いた。万斉がサングラスとヘッドホンを外す気配。
そして、『匂い』は強くなる。
素顔に吹く秋風が、やけに冷たく感じた。
1255689348345523.png青い右目と、赤い左目。
左右の色が異なる瞳と、異形の左耳。

素顔の万斉の視線を感じ、似蔵は見えない視線を合わせる。
「似蔵殿。拙者が隠しているのは、天人の匂いではござらんよ」
「それじゃ、何だい?」
「ただ単に、素顔を知られたくない相手が、居るだけでござる」
「・・・そうかい。なるほどねぇ」
納得したようにニヤつく似蔵の笑顔に、万斉はため息を零した。
何処まで感付いているかは推し量れないが、無闇に他言し触れ回る性格ではないと信じ、これ以上は口を閉ざした。
「大方、その知られたくない相手ってのが、切欠だったんだろうねぇ」
そんな似蔵の言葉に、万斉は答えなかった。

ある日を境に、急に人間臭くなった万斉に最初に気付いたのは似蔵だった。
以前なら、仲間といえど相手を労わる言葉など掛けはしなかったが、今では、先程のように身体を気遣う言葉まで持ち合わせている。
ご自慢に耳に不快な音が聞こえようと、その不快な音の中からでさえ旋律を抜き出す。

そして、何処か遠い所へ思いを馳せる。
此処には居ない誰かを想って。

ほら、今も。
素顔で向き合うことの出来ない相手を、想いながら。

「似蔵殿」
「何だい?」
「拙者の血は、赤かったでござるよ」
「そうかい」


赤い景色を眺めながら、万斉が呟く。
目に見えない景色を脳裏で描き、似蔵が相槌をうつ。


そのまま、仲間が迎え来るまで、二人は口を開く事は無かった。
万斉は景色を音楽を、愛で。
似蔵は匂いと音で景色を愛でた。


<おわり>


万斉は、人間と天人のハーフ。
人間でもない、天人でもない。
どちらにも成り切れない、自分自身の矛盾と葛藤で苦しんできたのが、万斉の過去。

万斉の「素顔で向き合うことの出来ない相手」というのは、山崎です。
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| 銀魂(文) | 11:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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